絵本のある暮らし、こどものいる暮らし

自宅で、図書館で、本屋で、出会った気になる絵本をてきとうに紹介していきます。

『あんぱんまん』 やなせたかし

続きまして2冊目です。

 

追悼の意味も込めまして。

子どものお気に入りのこの本にしました。

 

1歳すぎから突如アンパンマンブームが到来した彼は、開けばどこかしらにアンパンマンがいる(注:なぜならジャムおじさんもアンパンマンだと思っている)この本がお気に入りです。

「読んで」と言いたげに差し出してきます。

その割に最後まで聞いていないけれど。

 

この本、アンパンマンブームの我が子に「とりあえず1冊」と思って1冊目っぽい題名だったので購入。

ところが買ってから気づきました。

「’あんぱんまん’ってひらがなだったか?」

違いますね。テレビアニメはアンパンマン。カタカナ。

 そして中を開いてみるとなんだか様子がおかしい。

 

とりあえず、4頭身くらいあってぱっと見人のよう。

そして、なによりも最終的に顔丸ごと食べられる。

文には「あんぱんまんはしんだのでしょうか」なんて書かれてるし、ちょっとお子様には気まずい要素が目白押し。

 

それもそのはず、アニメのアンパンマンになる少し前の絵本なのだそうです。

この後、もう少しお子様向けに頭身や頭の与え具合が調整されて今に至るとのこと。

そもそも、当初は大人向けの物語の位置づけだったそうで、なんとなく納得。

なーんて物知り顔で書いてますが、あいにく某百科事典の受け売りですので、もうちょっと知りたいかたはこちらもどうぞ。

ウィキペディア/アンパンマン

 

私はそこまで世代ではないので、アンパンマンといえば「バイキンマンと戦ってパンチとかキックとかする正義の味方」くらいの認識でしたが、本来は飢えを救うヒーローだったんですね。

本の最後に書いてある、やなせ先生の「あんぱんまん像」なるものがこれまた深く真面目なもので、この絵本の道徳度をアップさせています。

その文から(長いので引用は端折ります)悪とバトルをしてかっこよく勝利することもなく、日々地道に飢えている人に自分を丸ごと差し出していく献身的な彼の姿が、本来やなせ先生が理想としていた正義の味方の姿なのだなと気づかされました。

そんな、聖人だよ聖人。

自己を省みず純粋に誰かのためだけを想う気持ちなんて、今一体どれだけの人が持っていられるんだろうなぁ。

 

話は子どもの反応に戻りますが、気まずい内容も赤ちゃんには関係がないようで、絵をみて読む声をきいてキャッキャしています。大満足。

おそらく、幼稚園にあがる頃くらいになると、疑問がわいてきて少し対応に困ることでしょう。

でも代わりにもう少し大きくなると、作者の言わんとしていることに気づけるのではと思うので、アンパンマン好きのお子さんをお持ちの場合は、3度おいしい良い絵本だなというのが私の感想です。

 

『あんぱんまん』 やなせたかし

子どもの反応

0才:ーーー 未チェック

1才:★★☆ 爆笑はないものの、キャラクター好きのため繰り返し読むお気に入り。

 

最後に。

ちょうど、子どものブームに乗っかって絵本を読み、エッセイを読み、その年に似合わぬユーモアと子どものような常にわくわくした気持ちのにじみ出る文章に引きつけられたところだったので、訃報のニュースはとても衝撃でした。

エッセイを読むとどうも著者を今までより少し身近に感じてしまうからか、悲しく寂しいというのが本音です。

尊敬の気持ちや感謝の気持ちが・・・うーん・・・うまく言葉にまとめられません。

改めて、ご冥福をお祈りします。

 

あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)

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